事業継承と事業承継の違いは?事業承継の方法や廃業についても解説

代表弁護士 佐々木 一夫 (ささき かずお)

相続では不動産や預貯金といった財産だけを取り扱うわけではありません。

中小企業を経営している方にとって、自身の死後、後継者をどうするのかといった問題に悩まされている方は多いのではないでしょうか?

相続では、こうした事業承継が深刻な問題になることもあるのです。

というのも、現在、経営者の高齢化、地方の企業では後継者不足などが原因で、事前に事業承継の準備をしていなかったために廃業となるケースが多く見受けられます。

こうした事態にならないためにも、中小企業の経営者の方は、事業承継について早い段階から検討していかねばなりません。

今回は、事業継承と事業承継の違いや、事業承継の方法について詳しくご説明していきます。

事業継承と事業承継の違いとは?

事業継承とは、地位や身分、仕事、精神などを先代から受け継ぐという意味です。

先代が守ってきた理念や思想など、形のない抽象的なもの・精神的な意味をもつものを受け継ぐという意味合いが強くなります。

一方、事業承継とは、義務や遺産、権利などを先代から受け継ぐ意味になります。先代や先任者が所有していた経済的価値など、形あるものを引き継ぐといった意味が強くなります。

混同されやすいですが、法律上の話で使用する場合は承継のほうが正しいとされているため、ここでは事業承継として相続の話を進めます。

事業承継を行う場合、会社が保有している資産だけでなく、会社の経営権や取引先、信用情報や負債などすべてが含まれます。

よって、普通の相続とは少し異なり、事前の準備がより一層重要になってきます。

こうした点からも、現在の経営者が体調を崩してからでは遅く、まだ元気なうちに取り組むことで、より確実な事業承継が実現可能となるのです。

もし着手が遅れてしまうと、その会社は廃業を余儀なくされます。

となれば当然、保有資産はすべて売却され、負債を支払った後に企業は消滅します。

今まで積み上げてきたものは、何1つ残すことができません。

先代から受け継がれてきた企業、自らが立ち上げ大きく成長させてきた企業が、こうした事態に陥ってしまうのは避けたいと感じる方は多いのではないでしょうか?

そのための事業承継というわけです。

事業承継の方法について

単に事業承継といってもその方法は大きく3つに分けることができます。

以下にてそれぞれ詳しく見ていきましょう。

1.後継者への承継

後継者と聞くと子どもを思い浮かべる方が多いのですが、現実には必ずしも子どもが後継者になっているわけではありません。

中には現従業員の中から適任者を探して後継者を立てる方も多くいらっしゃいます。

この後継者への承継が事業承継でもっともオーソドックスな方法です。

主に経営者が保有している株式の譲渡、取引先への認知、現在経営者が行っている業務の引継ぎなどがメインになります。

メリットは、子どもであったり今まで経営に携わってきた従業員だったりを承継者にするため、企業のその後を任せられる安心感があります。

しかし、子どもや信頼できる従業員が複数人いるとなると、誰を後継者とするのかといった問題が生じます。

しっかり適任者を判断し、事業を引き継がせるためにも、長い時間をかけて行う必要があります。

2.上場

事業の後継者が見つからない場合、上場するという方法もあります。

上場することで、会社にいざというときのために経営者自身が行っていた個人保証や、個人資産の担保提供の必要がなくなります。

また、上場によって外部から優秀な人材を集めることができ、後継者探しの難易度が一気に下がります。

しかし、現実には上場自体の難易度が高く、小規模な企業の場合は認められないケースが多くなっています。

とはいえ、もし上場することができれば、企業への就職希望者が増大するばかりか、中途採用といった方法で優秀な人材を得ることも可能になるメリットがあります。

今まで企業が積み上げてきた実績が大きいのであれば、これを機に上場にチャレンジしてみるのも良い選択肢の1つと言えるでしょう。

3.M&A

最後にM&Aという方法です。

M&Aとは、企業の合併や吸収をいい、会社の事業そのものを別の会社に引き継がせることができます。

つまりは、自身の企業を買い取ってもらうということです。

無事に売買が成功すれば、自身の会社の事業を別の会社に引き継いでもらうことができます。

このM&Aは、後継者への承継や上場などとは違って、購入を希望する会社さえあればすぐに実行できるメリットがあります。

また、比較的早期に事業承継が実現させられるだけでなく、売却代金が手元に入ってくることから、これを退職金がわりにされる方もいらっしゃいます。

とはいえ、買い手が見つからないことには承継は進みませんし、経営状況によっては早期解決が期待できるM&Aであっても、数年単位で進展がみられないこともあります。

さらに言えば、現在の従業員をそのままの契約で雇ってもらえるとは限らないため、それを心配される方もいます。

廃業は経営者だからこそできる決断

このように事業承継といっても、3つの方法がありますし、それぞれにメリット・デメリットが存在しています。

いずれの方法も適さない、実現できない、といった場合は、いっそ自らの手で廃業させてしまうというのも方法の1つです。

廃業は辛いですが、経営者だからこそできる決断です。

廃業であれば、後継者を探す必要もありませんし、上場の高いハードルに悩まされることも、M&Aによる買い手探しやその後の不安も感じる必要もなくなります。

事業承継のご相談は当事務所へ

これまで事業承継や廃業について見てきましたが、いずれの手続きを決断するにしても、保有財産や税金、契約関係など、その企業が本当に適している手続きを判断するには専門知識が必須です。

当事務所であれば、弁護士による法律的な見解だけでなく、他士業との提携によって幅広い視野から、その企業に適した手続きをアドバイスすることができます。

事業承継は、自分一人だけの問題ではありませんし、人生で何度も経験する手続きでもあります。

だからこそ、失敗しないためにも当事務所に最善の選択を決断するお手伝いをさせてください。

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